「時よ止まれ、お前は美しい」 |
2018年に没後100年を迎えるアッリーゴ・ボーイト(1842~1918)は、バッティストーニの思い入れ深いヴェルディの傑作オペラ『オテロ』『ファルスタッフ』などの台本作家として知られている。ボーイトが台本と作曲の両方を手掛けて26歳で完成・初演した最初のオペラ『メフィストーフェレ』は、ヨーロッパに古くから伝わるファウスト伝説を下地に文豪ゲーテが書いた戯曲『ファウスト』を基に執筆された。悪魔に翻弄される老博士の欲望と運命を描いたファウスト伝説は、音楽や絵画など古くから芸術家たちのインスピレーションの源となってきた。
悪魔メフィストーフェレと契約して若さを手に入れた主人公ファウストは、ゆきずりの乙女マルガリータに恋するが、やがて彼女やその家族までも破滅へと導いてしまう…。 |
Story
プロローグ Prologo |
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天上で天使たちが神を讃えている〔第1楽章〕。そこへメフィストーフェレが姿を見せ、慇懃無礼な口調で地上の人間たちの愚かさを語る〔第2 楽章〕。すると神がファウストの名をあげる。メフィストーフェレは、学問に励む彼にも弱点はある、誘惑してみせましょうと言い、神と賭けをすることになる〔劇的間奏曲〕。小天使たちの声が聞こえ、メフィストーフェレは去る〔第3楽章〕。地上の悔悟者たち、小天使たち、天使たちの合唱が重なる〔第4楽章〕。
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第1幕 Act1 |
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第1場 〈復活祭の日曜日〉
ファウストと弟子ヴァグネルは散歩をしながら、楽しげに行き交う人々を眺める。夕暮れ時、灰色の修道士を見かけたファウストは悪魔的なものを感じて身震いするが、楽天的なヴァグネルはそれを否定する。 第2場 〈契約〉 帰宅して「仕事場」に入ったファウストは、灰色の修道士が一緒に入ってきたのに気づかず、一人瞑想に入ろうとする(アリア「野原から、牧場から」)。しかし聖書を開いた時、隠れていた修道士が大声を上げる。修道士に化けていたメフィストーフェレは今度は騎士姿になる。驚いたファウストに名を問われると、自分が悪魔であることを明かし(アリア「私はすべてを否定する霊です」)、世界をあざ笑うように口笛を吹く。どんな望みも叶えますよとメフィストーフェレが言うと、人生に倦んでいたファウストは魂の安らぎを求める。「止まれ、お前は美しい」と口走るほど素晴らしい時が体験できたら地獄に落ちてもいいのだと。両者は合意し、契約を結ぶ。 |
第2幕 Act2 |
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第1場 〈庭〉
エンリーコと名乗るファウストは純朴な娘マルゲリータを口説く。 メフィストーフェレはもう一人の娘マルタを口説き、2組は庭を行き来する。「神を信じていますか」という娘の問いをはぐらかし、ファウストは心を感動で満たすべきだと相手を誘惑する。そして母親を眠らせて夜を一緒に過ごそうと、娘に眠り薬の入った薬瓶を渡す。 第2場 〈魔女の夜会〉 ブロッケン山に魔女たちが集まってくる。メフィストーフェレとファウストは鬼火の飛び交う急な山道を上る(鬼火の二重唱)。魔女と悪魔たちの奇妙な合唱と踊りの後、メフィストーフェレは彼らの王者として中央に座す。彼はガラスの球体を受けとると、それを地球に見立てて人間たちの愚かさを笑う(バッラータ「これが世界だ、空虚で丸い」)。魔女たちが狂ったように踊る。遠くの空中に突然マルゲリータの幻影が現れる。鎖につながれ、首を切断したような血の跡にファウストは動揺するが、メフィストーフェレは人を惑わす幻影だと断じる。魔女たちの踊りはますます激しさを増す。 |
第3幕 Act3 |
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〈マルゲリータの死〉
マルゲリータは母親を毒殺し、ファウストとの間に生まれた赤ん坊を溺死させたことで罰を受け、投獄されている。錯乱してひとりごとを言う(アリア「あの夜、海の底に」)。ファウストはメフィストーフェレの助けで監獄に入り込み、彼女を救出しようとする。初めおびえていたマルゲリータもやがて落ち着き、遠い島へ行って幸せに暮らすことを夢見る(二重唱「遠くへ、遠くへ」)。しかし夜明けが近づき、メフィストーフェレが彼らを急かしにくると、マルゲリータは逃げることを拒絶し、「聖なる父よ、お救いください」と祈りながら死ぬ。天から「彼女は救われた!」という声が響き、ファウストとメフィストーフェレは逃亡する。 |
第4幕 Act4 |
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〈古代の魔女の夜会〉
古代ギリシャの土地アッティカのペネイオス川のほとり。ファウストは花畑に眠り、月光に照らされた美女エレナが侍女パンタリスと真珠貝の船に乗って歌う(二重唱「静止した月が天空を照らす」)。ファウストは愛を感じて興奮するが、メフィストーフェレは「古代」が性に合わないらしく、聖歌隊の穏やかな歌と踊りに退屈する。エレナはトロイ戦争の幻におびえる。騎士姿のファウストが進み出て愛を語ると、エレナの心も愛に満たされるので人々は驚く(合唱付二重唱「まさしく理想の姿」)。二人は洞窟で一緒に暮らそうと手に手をとって茂みの中に消える。 |
エピローグ Epilogo |
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〈ファウストの死〉
再びファウストの仕事場。聖書の前でファウストはいま見た夢に思いを巡らせている。その様子を見守っていたメフィストーフェレはもう一度彼を誘惑しようとする。しかしファウストは言う。人生の終わりに来た今、多くの人々の幸せを祈るという至高の夢を見て自分は幸せなのだと(アリア「最期の時を迎えて」)。焦ったメフィストーフェレはファウストを再び連れ出そうとするが、そこへ天使たちの合唱が響く。メフィストーフェレは懸命に愛を思い出させようとするが、ファウストはむしろ天使の合唱に感動し、「去り行く聖なる時よ、止まれ、お前は美しい!」と叫んで息絶える。賭けに負けたメフィストーフェレは悔しげに口笛を鳴らし、天使たちはファウストの魂を天国に引き上げる。 文=小畑恒夫(11月定期プログラム『メフィストーフェレ』楽曲紹介より抜粋)
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Topics
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Andrea Battistoni × Tokyo Philharmonic
History of Concert Style Opera
Puccini : Opera “TURANDOT”
プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』 2015
Mascagni : Opera "IRIS"
マスカーニ:歌劇『イリス』 2016
Verdi : Opera “OTELLO”
ヴェルディ:歌劇『オテロ』 2017
Artists Profile
アンドレア・バッティストーニ
プロフィールを見る
1987年ヴェローナ生まれ。アンドレア・バッティストーニは、国際的に頭角を現している若き才能であり、同世代の最も重要な指揮者の一人と評されている。2013年1月よりジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ歌劇場の首席客演指揮者に、年間にオペラ2作品、交響曲公演2プログラムを指揮する3年契約で就任。2016年10月、東京フィルハーモニー交響楽団首席指揮者に就任。
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マルコ・スポッティ
プロフィールを見る
パルマ生まれ。故郷のボーイト音楽院で学び、テアトロ・レージョ劇場『仮面舞踏会』でデビュー。スカラ座、コヴェントガーデン、シャンゼリゼ劇場、バイエルン州立歌劇場、フェニーチェ歌劇場、メトロポリタン・オペラ、アレーナ・ディ・ヴェローナなどに出演、ムーティ、バレンボイム、ゲルギエフ、チョン・ミョンフンなど数多くの巨匠と共演。
レパートリーは幅広く『アイーダ』エジプト王/ランフィス、『トゥーランドット』ティムール、『ドン・カルロ』宗教裁判長、『セビリアの理髪師』バジリオなど。CD、DVDへの収録作品も多い。 |
アントネッロ・パロンビ
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イタリア出身。これまでベルリン・ドイツ・オペラ、ローマ歌劇場、バイエルン州立歌劇場、フェニーチェ歌劇場、グラインドボーン音楽祭、新国立劇場、フランクフルト歌劇場、ミラノ・スカラ座等、世界の一流歌劇場に出演。『ナブッコ』『ドン・カルロ』『アイーダ』『トスカ』『フェドーラ』『オテロ』『蝶々夫人』『メフィストーフェレ』『ノルマ』『マノン・レスコー』『トゥーランドット』『西部の娘』『アンドレア・シェニエ』『道化師』『運命の力』『サムソンとデリラ』『トロヴァトーレ』『外套』等数多くのオペラで主要な役を務め、リッカルド・シャイー、サー・ジョン・エリオット・ガーディナー、ネッロ・サンティ、フランツ・ウェルザー=メスト等、多くの著名指揮者と共演している。日本では1999年新国立劇場「カルメン」、2015年神奈川県民ホール及びびわ湖ホール「オテロ」に出演し話題を呼んだ。
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マリア・テレーザ・レーヴァ
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1987年レッジョ・カラブリア生まれ。故郷フランチェスコ・チレア音楽院で学び最高票を得て卒業。2013年オッタヴィオ・ジーノ国際オペラコンクール優勝、翌年カルロ・フェリーチェ劇場『ラ・ボエーム』ミミでデビュー。続くバッティストーニ指揮『カルメン』ミカエラ等で批評家・聴衆の双方から高く評価された。イタリア内外の様々な劇場で主要な役柄を演じている。今後の予定としては、『カルメン』ミカエラ、『ラ・トラヴィアータ』ヴィオレッタなど。今回の、東京での『メフィストーフェレ』マルゲリータ/エレーナ役が初来日となる。
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清水華澄
プロフィールを見る
国立音楽大学卒業。同大学院、新国立劇場オペラ研修所修了。文化庁在外研修員として渡伊。ウィーン・バーデン市立劇場『こうもり』に出演するほか、国内では新国立劇場をはじめ日生劇場、兵庫県芸術文化センターなど数々の舞台に出演。本年は東京二期会『ローエングリン』オルトルートに続き、10月『アイーダ』(A.バッティストーニ指揮)アムネリス役で札幌芸術文化劇場、神奈川県民ホール、兵庫県立芸術文化センターに出演予定。二期会会員
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Ticket Purchase
WEBで購入
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お電話で購入
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東京フィルチケットサービス (10時~18時/土日祝休) 03-5353-9522
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主催:公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)
公益財団法人アフィニス文化財団
公益財団法人 花王芸術・科学財団(11/16)
公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション(11/16)
協力:Bunkamura(11/18)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)
公益財団法人アフィニス文化財団
公益財団法人 花王芸術・科学財団(11/16)
公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション(11/16)
協力:Bunkamura(11/18)