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2017年4月7日(金)
9月定期には2000年10月ソウル生まれの
俊英、イム・ジュヒが登場
2000年生まれの韓国のピアニスト、イム・ジュヒさん。
9月定期公演が日本デビューの16歳ということで、実は私自身、まだ生演奏を聴いたことがありません。……というわけでいろいろリサーチしていたところ、日本でいち早く彼女の演奏に触れられる今度の公演は、どうやら逃さずに聴いておいたほうが良いような気がしてきました。これから大活躍しそうな気配がすごいのです!
まず、イム・ジュヒさんの経歴をご紹介しましょう。子供のころから師事してきたのは、ソウル大学名誉教授のシン・スジョン女史。2015年ショパンコンクールの覇者、チョ・ソンジンの子供時代の先生としても知られる名教師です。
オーケストラデビューは2010年、9歳のとき。サンクトペテルブルクの白夜祭で、ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団と共演。実に華々しいデビューです。ゲルギエフ氏はその後も彼女と共演しているので、才能を高く買っているのでしょう。
2014年には、チョン・ミョンフン指揮ソウル・フィルと、5月にショパンのピアノ協奏曲第1番を、8月にベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を共演。昨年10月にもマエストロ・チョン指揮アジア・フィルの公演で、ベートーヴェンの同曲ソリストに招かれていることから、マエストロの信頼がいかにあついか窺えます。
ベートーヴェンが「ピアノ協奏曲第3番」を
完成させたのは1803年、33歳頃のこと。
彼女がマエストロ・チョンとピアノ協奏曲第3番を演奏した3年前(当時13歳)の映像を観ると、この少女が、高い技術はもちろん、作品を通して伝えたい明確な何かを持っていることがビンビン伝わってきます。迷いのない表現、芯の強い音楽。ふと、チョ・ソンジンさんが15歳で浜松コンクールの舞台に現れ、堂々たる音楽性を見せつけて優勝したときのことを思い出しました。
今回彼女が東京フィルと共演するのも、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。若くして、このちょっとシブく、悲劇的でかつ力強いベートーヴェン中期の名曲を得意のレパートリーとしているとは、なんだか素敵です。
知るほどに、実際にその音楽を聴いて確かめてみたい気持ちが膨らむピアニスト。公演を楽しみに待ちましょう。
◆ Soloist's Profile
イム・ジュヒ Ju-hee Lim(ピアノ)
イム・ジュヒ
2000年10月ソウル生まれ。母もピアニスト。3歳でピアノを始め、ソウル大学名誉教授シン・スジョンに師事。韓国で多くのコンクールで1位を獲得し、2009年12月「ヤマハ・リトル・ピアニスト・シリーズin韓国」で9歳でリサイタル・デビュー。2010年6月、白夜の星音楽祭でゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団との共演でカバレフスキー「ピアノ協奏曲第3番」を演奏し、鮮烈なオーケストラデビューを飾った。演奏会は絶賛を博し、数日後、ギリシャの名ヴァイオリニスト、レオニダス・カヴァコスの代役としてハイドン「ピアノ協奏曲第11番」で再共演、ロシアのメディアから熱狂的なコメントを寄せられた。同年、ドイツ・ラインガウ音楽祭や上海オリエンタル・アートセンターで演奏。
特筆すべき演奏は以下の通り:
・ 2011年8月、フランス・アヌシー音楽祭でデニス・マツーエフと共演。
・ 2012年2月、ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団の韓国公演にサプライズゲストとして出演、ラヴェル「ピアノ協奏曲」を演奏。
・ 2014年、5月にチョン・ミョンフン指揮ソウル・フィルハーモニー管弦楽団とショパン「ピアノ協奏曲第1番」、同年8月にベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」で共演。
・ 2016年10月、チョン・ミョンフン指揮アジア・フィルとベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」で共演。
関連リンク
・チョン・ミョンフン指揮ソウル・フィルとのベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」(Youtube)
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◆ 過去の連載記事
<ご案内> 高坂はる香(こうさか・はるか/音楽ライター) |
イラスト:沙良志乃 |
2017年9月定期演奏会 チョン・ミョンフン指揮、新たな才能イム・ジュヒとの出会い2017年9月18日(日) 15:00 開演(14:30 開場)
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