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2014年10月29日(水)

プレトニョフ指揮、10月定期演奏会の公演評が朝日新聞に掲載されました。


+クリックで拡大(朝日新聞 2014年10月27日号より)

10月21日(火)のサントリー定期シリーズの公演評が、朝日新聞(10/27夕刊)に掲載されました。





(評・音楽)プレトニョフ指揮・東京フィル定期演奏会 独特のテンポ、濃密な時間

指揮者、ピアニスト、作曲家として異彩を放っているロシアのミハイル・プレトニョフが、 東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を振った。 10年ほど前から客演を重ねていて、相性がいい。 今回はショパンのピアノ協奏曲第1番とスクリャービンの交響曲第1番(21日、東京・サントリーホール)。

スクリャービンの第1番は生演奏ではめったに聴けない。破格の6楽章からなる交響曲で、 独唱と混声合唱付き。演奏時間は1時間におよぶ。19世紀末、後期ロマン派の時代の産物で、 楽曲の規模も壮大な構想もマーラーを想起させる。だが、マーラー流の立体的な鳴り響きとはかなり質が異なる。 連綿とした音楽の流れに、神の顕現としての芸術への憧れが強烈に現れている。

プレトニョフは作曲家の一途な想(おも)いを、独特のテンポ感覚で表現した。 内奥にひそむマグマのように、ふつふつとエネルギーをたたえつつ、音楽はゆったりと進んでいく。 アレグロで活気づいても、スケルツォで軽やかさを演出しても、緩やかなテンポの部分をていねいに歌いこむことで、 根底に流れる濃密な時間を意識させるのである。

このエネルギーが昇華されるのは最終楽章。メゾソプラノの小山由美とテノールの福井敬がいい。 壮麗なオーケストラに支えられながら、作曲家自身の歌詞による芸術賛美を朗々と歌い上げた。 混声合唱(新国立劇場合唱団)のフーガによる終盤まで、この大曲を一つの情熱で染め上げたのは、プレトニョフの恐るべき力技だ。

ショパンの協奏曲では、今年20歳のチョ・ソンジンのピアノがじつに爽やか。 プレトニョフの編曲版は、ともすると退屈なオーケストラだけの部分がシンフォニックに響いた。


(白石美雪・音楽評論家)

朝日新聞10月27日号より転載



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