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コンサート詳細情報

2016年

4月25日(月)
19:00

サントリーホール
大ホール

第878回オーチャード定期演奏会

第878回オーチャード定期演奏会

第879回サントリー定期シリーズ

指揮:ミハイル・プレトニョフ
ソールヴェイ(ソプラノ):ベリト・ゾルセット
ペール・ギュント(バリトン):大久保光哉
アニトラ(メゾ・ソプラノ):富岡明子
合唱:新国立劇場合唱団
語り:石丸幹二

グリーグ/劇付随音楽『ペール・ギュント』全曲(字幕・語り付)

曲目解説

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2016年4月25日(月)19:00開演(18:30開場)
サントリーホール 大ホール 座席表座席からの見え方

指揮:ミハイル・プレトニョフ
ソールヴェイ(ソプラノ):ベリト・ゾルセット
ペール・ギュント(バリトン):大久保光哉
アニトラ(メゾ・ソプラノ):富岡明子
合唱:新国立劇場合唱団
語り:石丸幹二

曲目 曲目解説

  • グリーグ/劇付随音楽『ペール・ギュント』全曲(字幕・語り付)






主催: 公益財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)
    公益財団法人アフィニス文化財団 
   「音楽文化の担い手としてのプロ・オーケストラが主催する、わが国ならびに各楽団が活動の重点を置いている地域にとって意義がある企画」として選ばれました。
後援:ノルウェー王国大使館ロシア大使館、ロシア連邦交流庁

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チケット料金(1回券)

  SS席 S席 A席 B席 C席
チケット料金

¥15,000

¥10,000
(\9,000)

¥8,500
(\7,650)

¥7,000
(\6,300)

¥5,500
(\4,950)

残席状況 × × ×

※( )…東京フィルフレンズ料金(SS席は対象外)

○…余裕あり △…残りわずか ×…売切れ



1回券発売日

賛助会員・定期会員

2016年3月15日(火)

東京フィルフレンズ

2016年3月19日(土)

一般

2016年3月24日(木)

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サントリーホール

所在地 : 〒107-8403 東京都港区赤坂1-13-1

TEL : 03-3505-1001

公式ホームページ : http://www.suntory.co.jp/suntoryhall

交通のご案内(赤坂アークヒルズ内)

電車

東京メトロ南北線 六本木1丁目駅 3番出口より 徒歩5分
東京メトロ銀座線 / 南北線 溜池山王駅 13番出口より 徒歩10分

バス

都営01系統バス(渋谷?新橋)「赤坂アークヒルズ前」下車

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2人の天才の作品が組み合わさった大傑作『ペール・ギュント』


ミハイル・プレトニョフ

 グリーグの『ペール・ギュント』はイプセンの戯曲のために書かれた作品で、一般に知られている組曲は後にグリーグが編んだ作品です。聴衆の皆様にとって、この作品にどういう流れがあるのか理解していただくためには、朗読も入れた今回の演奏の形でご紹介しなければなりません。台詞がなければ、どういうお話なのかがわからないからです。 組曲の音楽は広く知られていますが、この作品が何のために書かれ演奏されたかは、ご存知ない方も多いかと思います。 今回の演奏会では、2人の天才をご紹介させていただきたいと思っております。それはグリーグとイプセンです。 グリーグはイプセンの芝居のためにこの作品を書き上げました。人生・生きがいをテーマにした芝居で、読む人を深く考えさせます。 必ずやお客様の心に残る特別な演奏会になると信じております。演劇として観ることもでき、また音楽をじっくりと楽しんでいただくこともできるでしょう。今回の演奏会で『ベール・ギュント』全曲をご紹介できることは大きな喜びです。


4月定期公演のききどころ


 エドヴァルド・グリーグ(1843-1907)

 ペール・ギュントと聞けば、大方の日本人は、グリーグの『ペール・ギュント組曲』を思うだろう。だがこれは、グリーグの故国ノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンの劇詩『ペール・ギュント』の初演の際にグリーグがつけた劇中曲を、その後集めて組曲としたものである。イプセンは、50歳を過ぎて書いた女性解放劇『人形の家』(1879)で世界に名を馳せ、社会の矛盾をえぐる問題劇で、近代劇の父とも言われる。だが、彼の最高傑作は、それより前、39歳のときの『ペール・ギュント』だと私は思っている。グリーグは、はじめ、気乗りしなかったらしいが、曲を書いていくうちに大いに乗ってきた。初日の終演は12時過ぎ、観客総立ちの大成功だった。

 5幕の劇詩『ペール・ギュント』を、イプセンは上演を意図せずに書いた。だが実際は、山あり谷あり、海あり砂漠あり、笑いあり涙あり、波乱万丈、無類に演劇的な作品である。前半の3幕は、ノルウェーの民話世界から抜け出たような、現実とお伽噺を組み合わせた場面展開。村一番の嘘つきで乱暴息子ペールは、お大尽の娘の婚礼の場で、よそ者の娘ソールヴェイ(ソルヴェイグ)と、一目で思いを通じ合わせる。だが、山の魔物トロルの王国に迷い込んだペールは、そこから逃れても、もはや清らかなソールヴェイに近づくことができない。「待っててくれ」「ええ、待っている」そう言い交わしてペールは山を下り、ひそかに老母の死に水をとると、遠い世界に旅立って行く。


 ヘンリック・イプセン(1828-1906)

 第4幕はがらり変わって、生き馬の目を抜く近代資本主義社会。世界を股にかけたあくどい商売でひと財産築いたペールだが、ヨーロッパ各国を代表する自称友人どもに、モロッコ海岸で身ぐるみはがれ、砂漠をさまよう。猿の大群に襲われ、アラヴの女アニトラにふられ、スフィンクスの謎かけに翻弄される。あげくはカイロの精神病院で皇帝に祀り上げられたペールは、裏と表を逆にしたような現実に気を失う。イプセンの喜劇的才能、満開である。

 終幕、老いたペールは、難破にあい、やっとたどり着いた故郷の村では、だれも彼を覚えていない。死神が迎えにきて、有象無象の一人でしかなかったペールを、炉にいれて焼き直すという。追い詰められたペールは、いつの間にか山を登っており、そこに見つけたのは、いつまでも彼を待っていたソールヴェイ。ペールは問う、「おれはずっと、どこをほっつき回っていたのだ?」ソールヴェイは答える、「わたしの信仰の中、わたしの希望の中、わたしの愛の中」ペールはしがみついて叫ぶ、「おふくろ、女房、無垢の聖女、おれを隠してくれ、その中に!」

 清純な女の愛に救われたい。それは昔からの男の身勝手な願望。そんなロマンチックな解釈は現代には通じない。いまも頻繁に上演されるこの劇で、グリーグの曲が使われることはほとんどないが、そんなことにはお構いなく、『ペール・ギュント組曲』自体は、初演の昂奮のままに、演奏され喝采を浴びつづけている。




毛利三彌(もうり・みつや)

成城大学名誉教授。著書『北欧演劇論』『イプセンの劇的否定性』『イプセンのリアリズム』『イプセンの世紀末』『演劇の詩学』。編著『東西演劇の比較』『演劇論の変貌』。翻訳『イプセン戯曲選集―現代劇全作品』(東海大学出版会)『ペール・ギュント』(論創社)他。イプセン現代劇連続上演の演出。ノルウェー学士院会員。元日本演劇学会会長。

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